― クリティカルパスと時間短縮の本質 ―
1.PERT(パート)とは何か
PERT(Program Evaluation and Review Technique)は、
プロジェクトを構成する作業とその先行関係を図で表し、最短完了時間とクリティカルパスを明らかにする手法である。
PERTでは次の点が重要になる。
- 作業時間は固定
- 先行関係のみを変更して検討する
- 全体時間を決めるのは「最も長い経路(クリティカルパス)」
2.クリティカルパスの基本ルール
PERT図では、複数の作業が合流する場合、
最も遅く到着した作業が、その後の開始時刻を支配する
この「支配している経路」が クリティカルパス であり、
この経路上の作業は 1時間も遅らせることができない(スラック0)。
3.案1のPERT図と解説(最短になる案)
案1の特徴(先行関係の工夫)
- 加工Bは「設計」完了後すぐ開始可能
- 加工Aと加工Bを並列化
- 調整は「仮組立」完了で開始可能
- 本組立は「加工C・調整・運送N」がすべて揃った時点で開始
案1のクリティカルパス
設計 → 加工B → 仮組立 → 調整 → 本組立
所要時間
- 設計 55
- 加工B 50
- 仮組立 30
- 調整 35
- 本組立 40
合計:210時間
スラック(余裕)が生まれる作業
- 加工A → 加工C
- 外注P → 外注Q → 運送N
これらは本組立開始(170時点)までに完了すればよく、
多少遅れても全体には影響しない。
👉 案1はクリティカルパスを短い経路に「乗り換え」させたため、大幅な時間短縮が可能
4.案2のPERT図と解説(部分的に短縮)
案2の特徴
- 仮組立は比較的早く完了できる
- しかし 調整が「運送N完了待ち」 になる
案2のクリティカルパス
設計 → 外注P → 外注Q → 運送N → 調整 → 本組立
所要時間
- 設計 55
- 外注P 35
- 外注Q 50
- 運送N 10
- 調整 35
- 本組立 40
合計:225時間
評価
- 現状よりは短縮できる
- しかし外注~運送Nが支配的で、これ以上は縮まらない
👉 調整工程が外注系に縛られている限り、全体最適にはならない
5.案3のPERT図と解説(短縮できない案)
案3の特徴
- 仮組立が「運送M・運送Nの両方」を待つ構造
- 結果として運送N待ちが解消されない
案3のクリティカルパス
設計 → 加工A → 加工B → 仮組立 → 調整 → 本組立
所要時間
255時間(現状と同じ)
評価
- 先行関係を変更しているように見える
- しかし「支配条件(運送N待ち)」が残っているため、全体時間は変わらない
👉 クリティカルパスが動かなければ、PERT上は時間短縮できない
6.3案の比較まとめ
| 案 | 完了時間 | 評価 |
|---|---|---|
| 案1 | 210時間 | ◎ 最短・最適 |
| 案2 | 225時間 | ○ 一部改善 |
| 案3 | 255時間 | × 改善なし |
7.PERT問題で押さえるべき試験ポイント
- 時間短縮=作業時間を削ることではない
- クリティカルパスを別経路に移せるかが本質
- 合流点では「最も遅い作業」が必ず支配する
- スラックがある作業は、多少遅れても問題ない
8.まとめ
PERTによる日程短縮の本質は、
「どの作業が全体を支配しているか」を見抜き、
その支配構造を先行関係の工夫で変えること
である。
案1は、仮組立・調整を外注系から切り離し、
加工Bを軸にした短いクリティカルパスを構築した点が成功要因である。


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