PERT(パート)による日程計画の考え方と3案の比較解説

特級過去問解説

― クリティカルパスと時間短縮の本質 ―

1.PERT(パート)とは何か

PERT(Program Evaluation and Review Technique)は、
プロジェクトを構成する作業とその先行関係を図で表し、最短完了時間とクリティカルパスを明らかにする手法である。

PERTでは次の点が重要になる。

  • 作業時間は固定
  • 先行関係のみを変更して検討する
  • 全体時間を決めるのは「最も長い経路(クリティカルパス)」

2.クリティカルパスの基本ルール

PERT図では、複数の作業が合流する場合、

最も遅く到着した作業が、その後の開始時刻を支配する

この「支配している経路」が クリティカルパス であり、
この経路上の作業は 1時間も遅らせることができない(スラック0)


3.案1のPERT図と解説(最短になる案)

案1の特徴(先行関係の工夫)

  • 加工Bは「設計」完了後すぐ開始可能
  • 加工Aと加工Bを並列化
  • 調整は「仮組立」完了で開始可能
  • 本組立は「加工C・調整・運送N」がすべて揃った時点で開始

案1のクリティカルパス

設計 → 加工B → 仮組立 → 調整 → 本組立

所要時間

  • 設計 55
  • 加工B 50
  • 仮組立 30
  • 調整 35
  • 本組立 40

合計:210時間

スラック(余裕)が生まれる作業

  • 加工A → 加工C
  • 外注P → 外注Q → 運送N

これらは本組立開始(170時点)までに完了すればよく、
多少遅れても全体には影響しない

👉 案1はクリティカルパスを短い経路に「乗り換え」させたため、大幅な時間短縮が可能


4.案2のPERT図と解説(部分的に短縮)

案2の特徴

  • 仮組立は比較的早く完了できる
  • しかし 調整が「運送N完了待ち」 になる

案2のクリティカルパス

設計 → 外注P → 外注Q → 運送N → 調整 → 本組立

所要時間

  • 設計 55
  • 外注P 35
  • 外注Q 50
  • 運送N 10
  • 調整 35
  • 本組立 40

合計:225時間

評価

  • 現状よりは短縮できる
  • しかし外注~運送Nが支配的で、これ以上は縮まらない

👉 調整工程が外注系に縛られている限り、全体最適にはならない


5.案3のPERT図と解説(短縮できない案)

案3の特徴

  • 仮組立が「運送M・運送Nの両方」を待つ構造
  • 結果として運送N待ちが解消されない

案3のクリティカルパス

設計 → 加工A → 加工B → 仮組立 → 調整 → 本組立

所要時間

255時間(現状と同じ)

評価

  • 先行関係を変更しているように見える
  • しかし「支配条件(運送N待ち)」が残っているため、全体時間は変わらない

👉 クリティカルパスが動かなければ、PERT上は時間短縮できない


6.3案の比較まとめ

完了時間評価
案1210時間◎ 最短・最適
案2225時間○ 一部改善
案3255時間× 改善なし

7.PERT問題で押さえるべき試験ポイント

  • 時間短縮=作業時間を削ることではない
  • クリティカルパスを別経路に移せるかが本質
  • 合流点では「最も遅い作業」が必ず支配する
  • スラックがある作業は、多少遅れても問題ない

8.まとめ

PERTによる日程短縮の本質は、

「どの作業が全体を支配しているか」を見抜き、
その支配構造を先行関係の工夫で変えること

である。

案1は、仮組立・調整を外注系から切り離し、
加工Bを軸にした短いクリティカルパスを構築した点が成功要因である。

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