進捗管理に使われる代表的な管理手法

特級過去問解説

生産管理・プロジェクト管理で用いられる進捗管理の手法には、目的に応じてさまざまな種類があります。ここでは、製造現場で使われるものから、ITプロジェクト管理で使われるものまで幅広くわかりやすく解説します。

■ 製造三角図(せいぞうさんかくず)

製造計画と実績を比較し、生産の遅れや進みを一目で把握するための図です。

  • 横軸:日付(時間)
  • 縦軸:生産数量
  • 計画数量を斜線などで示し、実績は折れ線でプロットする
  • 計画線と実績線の差で遅れ・進みを可視化できる

生産ラインの進捗を毎日追跡するのに適しています。

● 図解(ASCII)

数量 │\
     │ \
     │  \     ← WIP(仕掛品量)
     │   \
     └────────────→ 日付
        ↑着手     ↑完了

■ アローダイヤグラム(Arrow Diagram)

作業の順序関係と所要時間を矢印で表す図で、PERT(パート)やクリティカルパス法の基礎となるものです。

  • 矢印:作業
  • 丸(ノード):作業の始点と終点
  • 作業間の先行関係がわかりやすい
  • 全体の最短完了時間を求められる

プロジェクトの遅延要因(クリティカルパス)を把握しやすいのが特徴です。

● 図解

(開始)──A──>(1)──B──>(2)──C──>(終了)
           ↑────D──────│

■ 流動数曲線(りゅうどうすうきょくせん)

生産の流れの停滞や滞留を把握するためのグラフ。

  • 横軸:時間
  • 縦軸:現場に存在する仕掛品(WIP:Work In Process)の数量
  • 現場の混雑状況、ボトルネックを視覚的に把握できる

仕掛品が増え続けている工程は、改善の優先ポイントになります。

● 図解

数量 │           / 実績
     │     / ̄ ̄
     │   /
     │ /  計画(斜線)
     └────────────────→ 時間

■ カムアップシステム(Come-Up System)

毎日の生産実績を累計し、計画とのズレを可視化する進捗管理手法。

  • 計画数量を斜線で示したグラフを用意
  • 毎日の生産実績を累積してプロット
  • 計画線を上回れば進み、下回れば遅れ

製造三角図と近いが、「累積生産数」で追うのが特徴です。

● 図解

数量 │  / 計画累計
     │ |
     │  \ 実績累計(遅れ)
     └────────────────→ 日付

■ ガントチャート(Gantt Chart)

工程や作業を棒グラフで表し、開始・終了を一目で把握できる進捗管理図です。

  • 横軸:時間
  • 縦軸:工程・設備・作業者など
  • 各作業を棒で示し、期間や進捗を管理する

製造現場だけでなく、ITプロジェクトや建設でも広く使用されます。

● 図解

工程       | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
------------------------------------
加工       |■■■■■■■
検査       |      ■■■
組立       |         ■■■■■

■ WBS(Work Breakdown Structure)

プロジェクトを分解して構造化し、「何をするか」を明確にする手法。

  • 大きな作業を細かいタスクに分ける
  • 階層構造で作業範囲を整理
  • コスト・日程管理の基礎となる

WBSは計画の土台として、ガントチャートなどと組み合わせて使われます。

● 図解

プロジェクト
├─ 1. 設計
│   ├─ 1-1 基本設計
│   └─ 1-2 詳細設計
├─ 2. 製造
│   ├─ 2-1 加工
│   ├─ 2-2 組立
│   └─ 2-3 検査
└─ 3. 納品

■ ウォーターフォール(Waterfall)

工程を「上流 → 下流」へと順番に進めていく開発手法。

  • 要件定義 → 設計 → 製造 → テスト → リリース
  • 後戻りが少ない
  • 設計やドキュメントを重視するプロセス型

ITシステム開発で伝統的に使われる代表的手法です。

● 図解

要件 → 設計 → 開発 → テスト → 納品
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  前工程が終わらないと次に進まない方式

■ CCPM(Critical Chain Project Management)

制約理論(TOC)を応用した進捗管理手法で、資源(人・機械)の負荷を考慮したスケジュールを組む方式。

  • バッファを明確に管理する
  • マルチタスクを避け、作業効率を上げる
  • クリティカルチェーン(資源制約を含む重要経路)を重視

従来のクリティカルパス法よりも現実的な計画を立てやすいのが特徴です。

● 図解

工程A ── 工程B ── 工程C
              ↑ バッファ

■ PERT図(PERT:Program Evaluation and Review Technique)

アローダイヤグラムを用いて、作業の最短完了時間を予測する手法。

  • 楽観値、最頻値、悲観値の3つの見積もりを使用
  • 完了確率からスケジュールを検討できる
  • 不確実性の高いプロジェクトに適している

研究開発や大規模プロジェクトでよく使用されます。

● 図解

 [開始]
   |
 (A) 3日
   |
 [1]──(B 5日)──>[2]
   └──(C 2日)──┘

✅ まとめ

  • ガントチャート:工程×時間の棒グラフ
  • 流動数曲線:計画と実績の累計比較
  • 製造三角図:仕掛品量が一目でわかる
  • カムアップシステム:遅れの早期発見
  • アローダイヤグラム:ネットワークで依存関係を把握
  • PERT図:ばらつき考慮+クリティカルパス
  • WBS:作業分解で漏れ防止
  • ウォーターフォール:直線型工程管理
  • CCPM:制約にバッファ配置し納期を守る

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